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可視光ファイバレーザーの開発!!

新製品
2005.08.09

実用性の高いフッ化物ファイバを用いたアップコンバージョンファイバレーザーの開発

住田光学ガラスはオリジナルの当社製フッ化物ファイバを用いた、アップコンバージョンファイバレーザーを開発いたしました。

光ファイバを用いてレーザー発振させる、いわゆるファイバレーザーは、発光物質となる希土類元素を光ファイバのコアガラス中にドープし、半導体レーザー(LD)を励起光源とするもので、ビーム品質に優れ、また小型で高出力の光源になると期待されています。
すでにシリカファイバを用いて、1µm帯の高出力レーザーが実用化されており、Nd:YAGレーザーの応用分野にも適用を検討しています。

これまで可視光ファイバレーザーは、希土類元素をフッ化物ファイバ中にドープし、そのアップコンバージョン蛍光を利用して、実現しようとする試みがあり、すでにフッ化ジルコニウム系ガラスファイバを用いた可視光レーザーが研究用途的に市販されています。しかし、フッ化ジルコニウム系ガラスは耐水性などの化学的特性に問題があり、実用性が疑問視されていました。

そんな中、当社では以前からフッ化物ファイバの研究開発を行ってきましたが、その応用の一つとしてアップコンバージョンファイバレーザーの開発を進め、今回フッ化アルミニウム系ガラスにプラセオジム(Pr)をドープした光ファイバを用いて、赤色レーザーを安定させて発振させることに成功いたしました。

励起光は830nmのLDを用い、励起光強度が150mW程度で数ミリワットの赤色レーザー635nmが得られました。フッ化アルミニウム系ガラスは化学的耐久性が高く、フッ化物ガラスの中では最も実用性のあるガラスです。また、励起光や発振光によるファイバの劣化もほとんどありません。そのため、一般的な酸化物光ファイバよりも機械的強度は劣るものの、取り扱いは容易です。

アップコンバージョンファイバレーザーの用途として有望なのは、
高品質の可視光光源です。
ファイバ中の希土類元素の種類を変えたり、ファイバの両端に取り付ける反射ミラーの特性を変えることで、緑色、青色のレーザー発振も可能となります。

さらに、このようなファイバレーザーの組み合わせにより、
高輝度の白色光源を作ることもできます。
このような光源は液晶パネルのバックライトなどに応用可能です。

今回開発したファイバレーザーは励起パワーの小さいシングルモードLDを用いるファイバ構造ですが、今後はファイバ構造などの検討により、励起光源にハイパワーで入手が容易なマルチモードLDを用いるファイバレーザーの作製を行う予定です。

今回開発したファイバレーザーは10月に開催されるCEATECで展示予定となっております。

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